GN250 メインハーネス ハンドルスイッチ 電装一式 開発(2025.7開始 2025.9.17公開)
はじめに
国内仕様のGN250が1982年に発売されてもう40年以上すぎましたね。ボルティ前期も30年超えてきていますので、GZ250もグラストラッカーも20年越えですね。GN系のエンジンは頑丈・元気なのですが、20年や10万キロ超えてくると困るのは電装部品です。当店はいつもどおり ほとんど誰もやらない・やりたがらない旧車の電装開発をすすめていきます。中国のGN250も最近はどんどんパーツが絶版になっているのでようやく重い腰をあげました。
2025年-1頃
中華GN250のメインハーネス一式を手にいれました。
内容はメインハーネス、キーセット、スピードメーターアッシ、左右ハンドルスイッチの4点です。ほぼすべて望江スズキの純正なのですが、キーのみ社外品でした。
上の写真のように軽く接続してみましたが、案の定 だめでした。
まず配線の色が合わないためにどこにどれをつなげばいいのか正確にわかりませんでした。このメンテナンス性などが悪いのはスズキ車の宿命なのであきらめます。
左右ハンドルスイッチです。メインハーネスとの接続のカプラは同じ6pと9pでしたが、各ギボシの色がメインハーネス側に同じ色がありませんでした。
とりあえず、感で仮接続してみて、
反応したのは キーonで ウインカーレフトにスイッチをいれると メーター内のウインカーライトが点滅しただけでした。
これは CB125Tの開発のときと同じで、メインハーネスとハンドルスイッチが全くあっていないのです。おそらくハンドルスイッチのみがバージョン新しいのだと思います。
これはかなり難しそうだと 思い時間がかかると思いました。
そして、別件で忙しくなりしばらく放置していました。
2025-6あたり
ヴェクスターや CB125Tでメインハーネス一式開発がほぼ終わり、CB125Tでは最後のほうはハンドルスイッチの配線加工までするようになりました。ヴェクスターではハンドルスイッチハーネスのワンオフもできるようになりました。おかげでGN250もいけそうな気がしてきたので、情報をあつめはじめます。
まずは配線図を探しました。USA仕様サービスマニュアルを手にいれました。しかし、配線の色などが中華仕様と違いあまり参考になりませんでした。
そして 中国のネットでも探してみますが、中華GN250の配線図はなかったです。しかし 電気経路図を見つけることができました。中華GN250乗りの方がアップしてくれたようです。
この電気経路図を見ることで1つ1つ配線を順番にチェックして配線をようやく確定することができました。時間・手間はかかりましたが、思ったより早くできました。
せっかくなので具体的なやり方を少し紹介します。
まずは簡単なホーン配線です。
この図によるとホーンはアース側のスイッチになっています。まずはメインハーネスのどの部分がホーンなのか探します。これは最初ヘッドライト付近にあると思い見つからなかったのですが、中国のネットでGN250のホーンに関して調べると画像が見つかりますので、これでなんとなくわかりました。
そして メインハーネスの中間部分にあることがわかりました。
メインハーネスとのホーン接続部分です。線の色が 緑/赤とオレンジ色であることがわかります。
スズキ車はたいていオレンジ色が+12V(acc)でして、調べるとGN250も同じでした。このことからアーススイッチは緑/赤色になるので、緑/赤色をさがします。
メインハーネス側のレフトハンドル接続9pカプラ内にありました。この緑/赤色線がホーンとの接続になります。
次はハンドルスイッチ側でホーンを押したときに 導通する部分をさがします。そして配線を仮接続して、導通動作すれば 入れ替えます。注意点はアーススイッチなので、メインハーネス側のアースと接続することです。
レフトハンドル単体でホーンを押すと写真の緑色と黒/白線と導通することがわかりましたので、緑色がホーンになります。(黒/白線はスズキ車ではアースラインです。)そしてメインハーネス側にあわせて、配線を入れ替えます。メインハーネスではなくハンドルスイッチ側を入れ替えるのがコツです。なぜなら、中国ではメインハーネスの種類は少なくハンドルスイッチの種類が多いからです。
左がレフトハンドルスイッチ側で右がメインハーネス側です。これで2本の位置が確定しました。
こんな感じです。この状態でホーンスイッチを押すと別のアースラインと導通するのをテスターにて確認できればOKです。
さらにホーンがちゃんと鳴るためには キーonで電気がながれる+12Vの配線がホーン本体に流れるようにしないといけないです。
具体的にはオレンジ線にキーonで+12Vが流れるようにします。
配線図を見るとメインキーとバッテリー(レギュレーター)の配線になります。
今回はキーシリンダー配線とメインハーネス側の配線が同じ4線でした。さらに位置も色も同じだったので入れ替えせずに+12vが流れるようになったので簡単でした。
左メインハーネス側で右側がキーシリンダー側です。同じ色・本数だったのでそのままつなげました。
本数や位置が違うときは少し難しいのですが、配線図やマニュアルがあればたいていなんとかなります。同じ車種でも年式が違うと全くあわないときもあるので注意が必要です。中国ではたいていメインハーネスの年式・バージョンが古く他のパーツが新しくなっています。メインキーやハンドルスイッチ類が合うかどうかは毎回賭けで、少し恐ろしいです。(例えば中華フュージョンのキーだと国内フュージョンXにはほぼ無理でした。)
キーシリンダーの配線が複雑な時も多いので最初はホーンを鳴らすだけでも大変なときもあります。
(GN250のキーの配線・接続情報は防犯のため購入者のみにお伝えできます。)
次はブレーキランプでしょうか。
中華の回路図によると今度はプラス側にスイッチがあります。
フロントブレーキとリアブレーキがあるだけでやることはホーンと似ているのですが、プラス側にスイッチがあるので少し注意が必要です。今回のケースでは まずテール配線を探し、茶/白色線 茶色線のどちらかがブレーキ点灯なのがわかります。
メインハーネスの一番後ろ側がテールになり、この3Pがテールライト接続します。
そしてメインハーネス側の中間地点とヘッドライト付近に 茶/白色線がありましたので、この線がブレーキ線だと、すぐにわかりました。ヘッドライト付近がフロントブレーキで中間地点がリアブレーキです。そして茶色がポジション点灯ラインなのも確定できます。キーonにてオレンジ線に+12Vが流れることがすでに確認できているので、今度は キーonでも茶/白色線にも+12Vが流れることが確認できれば、それでOKです。GN250のフロントブレーキはライトハンドルスイッチとは関係なく独立していたので組み替えもなく簡単でした。
ついでにポジションラインもチェックします。GN250のポジションは ヘッドライト部分とテール部分とメーター内の3か所にあります。ヘッドライト部分はライトハンドルにスイッチがありますので、ヘッドライトon位置にしたときに導通する部分をテスターにて探します。少しややこしいのはGN250のハンドルスイッチはライトonでポジションとヘッドライトの両方が点灯するので2か所あるので2か所を調べないといけないです。あと面倒なのはキーシリンダー側でパーキング位置でもポジションライトが点灯するのでこちらもチェックします。配線図によるとキーポジションだとヘッドライト内ポジションランプとテールランプのみが点灯してメーター内は点灯しません。
ウインカーもウインカーリレーをつければ 調べることはブレーキランプとほぼ同じです。プラススイッチになっていました。フロント・リア・メーター内と3か所とウインカー左右の2つがありますので、調べるところは全部で6カ所あります。
メインハーネスの一番後ろ側がウインカーラインを判別するのにわかりやすかったです。黒/白の2又が左右リアウインカーのアース側で、黒が左のプラスでライトグリーンが右側のプラスだとわかりました。
1カ所づつ合うようにハンドルスイッチの配線などを変更していきます。たくさんあり結構手間でしたが、配線を入れ替えるだけでいけたので楽でした。(配線入れ替えでだめなときは経路を分析して配線加工をしないとだめです。参考 こちらの2025.1.6辺り)
ウインカー経路はたいていこのようになっています。全体配置図だとたどるのが大変ですが、このような経路図だとわかりやすいと思います。
少し難しいのはヘッドライト関係です。GN250の場合はライトスイッチにはポジション位置がないのですが、キーシリンダー側でパーキング位置でのポジション点灯があります。これも配線図があったのでそれほど難しくなかったです。
GN250はライトon・offの2段階なので楽でした。灯火類の最初の難関はここだと思います。on・offの2段階でさらにハイ・ローの2段階があります。そしてパッシングスイッチは独立しています。最初は頭が混乱すると思います。
最後の難関は セルスタートボタンです。セルボタンは クラッチを切らないとだめだったり、サイドスタンドをかけるとニュートラルにいれないとセルは回らないなどがよくあります。このようなケースではリレーやダイオードを利用していることが多く複雑です。しかし 中国の経路図を見るとなんとGN250にはクラッチスイッチ自体がなく すごくシンプルな回路でした。キーonでRUNであればセルボタンを押せばセルは回る回路です。回路的にはクラッチを切らなくてもセルモーターには電気がいきます。(実際はクラッチを切らないと抵抗になりセルモーターは回らないと思います。)ニュートラルスイッチはメーター内のランプを点灯するだけでセルモーターには関係ないです。さすが80年代ですね。安全装置のインタロック機構一切なしです。
GN250のセルモーター経路図です。シンプルで簡単です。
こんな感じで1つ1つ調べていくので手間はたくさんかかります。さらに灯火類だけでなく 充電回路 点火回路 ・・もチェックします。これでようやく完成です。
面白かったのは GN250は ヘッドライトoffで充電回路の2相のみを利用して、ヘッドライトonにて3相になることです。かつては バッテリーやレギュレターの性能が低かったためですね。現代ならこんなことしなくてもいいのでどうなっているかと思っていたら、やはり改良されていました。常に3相接続するによう改良されいます。つまり現代ならGN250系の車体でヘッドライトをLED化していれば、ジェネレターコイルもレギュレターも性能あがっていますので、1相が切れて2相になっても十分利用できそうですね。参考 こちら
GN250の発電・充電経路です。ライトOFFでは2相のみを利用して、ライトon(ヘッドライトとポジションランプ類)で3相を利用します。
ライトハンドルハーネス側で短絡している写真です。
この写真の赤・白色が常時接続しているのがわかると思います。つまりこのライトハンドルスイッチは改良型で新しいのです。内部にもジェネレーターコイル用のスイッチはありませんでした。
また 今回分はスピードメーターとメインハーネスの接続は問題なく組み換えも不要でした。ハンドルハーネスが動作するようになるとスピードメーターの配線は意外と簡単です。例えば、メインハーネスとハンドルスイッチで、ポジション点灯するようになったら、その線にスピードメーターの線を接続するだけです。ウインカー他も同じです。ハイライトインジケーターが パッシングスイッチとハイの2か所に接続するのが最初は難しいかもしれません。あとはニュートラルはアーススイッチになっていますので、メインハーネス側のニュートラルスイッチをアースに接続してニュートラルインジケーターが点灯するところを探します。ハンドルスイッチと比べるとすごく簡単だと思います。
左がスピードメーター側で右側がメインハーネスです。6pカプラ2個とギボシ1つで接続しています。写真下側6Pが線が5本のみなので、メインハーネス側も5本と接続します。写真のように色はかなり違うのですが、今回は組み換え不要で利用できました。ちなみに5本入っているほうがシフトインジケーター側の1から5速になります。シフトインジケーターのないスピードメーターに変更するときはこちらは接続不要です。
少しだけ紹介したつもりなのですが、書いてみると結構長くなってしまいました。実際には他にもたくさん分析・組み換え・加工などがありますので、やっぱり少しなのです。
それでは せっかくなので、全接続を公開いたします。色などは今後変更になるかもしれませんね。
中華GN250のメインハーネス一式接続写真です。接続していないものはラベルをつけましたのでわかると思います。フロントの接続部分が多く重なってしまい個別にうまく撮れなかったです。次に接続手順を書きますのでそちらを参考してください。
GN250メインハーネス一式 接続手順
まずは ヘッドライト側 フロント接続部分です。紹介と重なる部分もありますが、おさらいもかねて全部書きます。
1.メインキー接続
左メインハーネス側で右側がキーシリンダー側です。4Pカプラ同士で他にはないので間違えることはないです。
2.レフトハンドルスイッチ接続
指でつまんでいる方がハンドルスイッチ側でメインハーネス側の9Pと接続し、薬指のオレンジ色/赤線とメインハーネス側のオレンジ色と接続してください。色も近いですし間違えにくいと思います。
3.ライトハンドルスイッチ接続
黒い6pカプラがハンドルスイッチ側でメインハーネス側の6pと接続します。また ハンドルスイッチ側の黄/緑線とメインハーネス側の緑/黄線と接続します。
4.ハンドルスイッチ同士の接続
レフトハンドルスイッチ側の黄/白線とライトハンドルスイッチ側の黄/白線と灰色線がたばねられたギボシと接続します。
レフトハンドルスイッチとライトハンドルスイッチの接続です。メインハーネス側ではないので少し注意してください。
5.スピードメーター接続
ハンドルスイッチと比べるとすごく簡単だと思います。
左がスピードメーター側で右側がメインハーネスです。6pカプラ2個とギボシ1つで接続しています。写真下側6Pが線が5本のみなので、メインハーネス側も5本と接続します。メインハーネス側がおなじ6pメスカプラなので注意してください。ここが唯一間違える可能性があります。ギボシ接続はメインハーネス側の黄色線と接続してください。写真にあるように接続しても線の色がかなり違います。スピードメーターの種類があるようなので、今後もかわりそうです。
6.左右フロントウインカーの接続
下側がメインハーネス側で、上側がウインカー側です。メインハーネス側の2又の黒/白線がアース(ウインカーマイナス)です。 メインハーネス側の黒色がウインカー左のプラスになります。メインハーネス側のライトグリーンがウインカー右のプラスになります。ウインカーを交換したことがあれば簡単だと思います。ちなみにウインカーバルブがハロゲンでしたら、極性を気にしないで取り付けてもOKです。LEDなら極性を間違えると点灯しないです。
7.ヘッドライト・ポジションランプの接続
3pカプラがヘッドライトの接続で、上から黒/白線がアースで白線がローライトで黄色がハイライトです。接続用に 3pのメスカプラを利用してください。メスギボシの茶色がポジションランプのプラスで、黒/白線がアースになります。こちらもヘッドライト側と合わないときは 3.5mmオスギボシを利用してください。
8.フロントブレーキスイッチ接続
左側がメインハーネス側で オレンジ色と茶/白色のメスギボシがフロントブレーキスイッチになります。一応オレンジ色がプラスなのですが、ブレーキスイッチ側に極性がないためどちらに接続してもOKです。
フロントブレーキスイッチ接続ハーネスです。もう中国にはないので当店で制作しました。どうやら中国仕様はブレーキアッシに接続ハーネスも付属しているようですが、すでに絶版です。ライトハンドルスイッチにあわせて少し長めの全長70cmにしました。ある程度ハンドル変更にも対応できると思います。線の色が黄色と青色で制作しましたが今後変更になる場合があります。
フロントブレーキスイッチとの接続のイメージです。こちらも極性ありませんのでどちらにつないでもOKです。
以上でメインハーネス前部分の終わりです。あとは写真で一目瞭然なので簡単にいき補足をしていきます。
9.メインハーネス中間部分
まず黒/白線がアースですのでおそらくフレームに接続してください。ひょっとしたらエンジンかもしれませんが、どちらでもOKです。イグニッションコイルは こちらのフルトラT.C.I式タイプです。プラスとマイナスを間違えないように接続してください。ホーンは極性がないのでどちらにつないでOKです。シフトインジケーターは6Pと1つのギボシ接続をしています。インジケーター側を車体につけないときはニュートラル線と青色線を接続してください。この接続でニュートラルのみ点灯するようになります。
10.メインハーネス中間部分2
この部分はラベルしかないのですが、現物をリストアップします。
レギュレーターは旧型の4p+1タイプで こちら など
ジェネレーターコイルとパルスコイルも旧型の こちら
そのままつきますので 簡単です。
11.メインハーネス中間部分3 バッテリーケース付近
左からいきます。赤線がバッテリープラスとの接続です。バッテリーとセルリレーを接続している太い線から分岐している線(ヒューズが間にあり)と接続してください。この写真ではバッテリーとセルラインが短いものを利用していますが、GN250のものはもっと長いと思います。後日長いものを用意する予定です。
次に青線とオレンジ線のL字カプラがウインカーリレーとの接続です。L字型なので接続間違えないです。ICリレーがおすすめです。 こちらなど
さらに次は 黒/白線でバッテリーマイナスと接続します。
最後の オレンジ色 と 茶/白線は リアブレーキスイッチと接続します。ギボシ接続で 極性はないのでどちらにつないでOKです。 こちら
12.テール部分の接続
左からいきます。
3pカプラがテールランプの接続で、白/黒線がアースで茶線がポジションランプで茶白色がブレーキランプです。接続用に 3pのメスカプラを利用してください。
緑線のギボシがセルリレーのプラス接続です。セルリレーのアースは黒/白線のアースに接続しています。(詳しくは後述)
残りのラインはリアウインカーです。ウインカーアースは黒/白線のアースに接続します。この写真では分岐しているのがわかると思います。メインハーネス側の黒色がウインカー左のプラスになります。メインハーネス側のライトグリーンがウインカー右のプラスになります。フロントウインカーのときと同じです。
ウインカーアース接続用にアースラインを増やすのには 3又ギボシを利用しました。もともとノーマルのGN250のセルリレーはアースラインがなくボディアースになっているため1本しありません。ただこの1本入力タイプのセルリレーは中国でもほぼ絶版のため手に入りません。今後も長くセルリレーを利用できるように2本入力タイプのものに合わせました。2本タイプのセルリレーも今後販売いたいします。ちなみに3又の1つが余っていますので、電装部品追加の際にでも利用してください。
パーツリストのイラストからです。GN250のノーマルセルリレーは1本入力です。このタイプのセルリレーは中国でもほぼ絶版で2本タイプに更新されています。
もし1本入力タイプのセルリレーが使えそうでしたら このような接続になります。参考にどうぞ。
これにてメインハーネスの接続はすべてになります。
リレーも少なくさらにダイオードがなくて、とてもシンプルな設計でいいですね。耐久性も高く30年とかもちそうそうです。ぜひ国内のGN250を復活してあげてください。
中華GN250のメインハーネス一式動作確認動画
シフトインジケーターのみの拡大動画
全体写真です。ヘッドライトとテールランプは豆球にて接続しています。これらを車体に取り付ければ電装を一新できます。
次は販売に向けてセットやパーツのページをアップしていきます。
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